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耳が痛い 原因は補聴器?

補聴器を使用していると多かれ少なかれ、耳のトラブルを経験します。かゆい、痛い、腫れた……。どのような対応が必要なのでしょうか?


補聴器がないと夜も眠れない

井上さん(仮名)は補聴器歴7年目のベテランユーザーです。

両耳に補聴器を付けており、定期的に耳鼻科にも通っています。去年、年齢を理由に運転免許を返納してからはお孫さんの車で定期的に来店するお客様でした。


半年ほど音沙汰がなかったので、ハガキを出したところ数日後に来店。お孫さんから「おじいちゃん、耳が痛いと言って大変なの」と言われました。


ご本人に聞いてみると、補聴器を外すと耳が痛いということです。


通常こういう場合は補聴器の耳せん部分を疑います。耳せんが大きすぎたり、素材が硬すぎると耳の穴を圧迫して痛みやかゆみが出てくるのです。


井上さんの使っている補聴器はRICタイプと呼ばれる、耳の穴の中に音を発生させるスピーカーが入る機種なので耳の穴が小さい人が付けると違和感がでる場合があります。


こういった場合の対処は耳せんのサイズ変更、スピーカー(レシーバー)を細いものに変える、オーダーメイドの耳せんを作るなどがありますが今回はどうも腑に落ちません。

耳の違和感は大半が補聴器が初めての方や、新規機種にした場合におこる問題です。井上さんは今の補聴器を5年は使っているので当てはまらないのです。


情報不足なので、もう少し詳しく聞いてみることにしました。井上さん、最近お見えになりませんでしたね。夏は暑かったので、外出を控えていたんですか?軽く雑談風に聞いてみると、この半年ほど入院していたそうです。


心なしかやせたように感じたのは、そのせいだったのかと思い話を続けながら痛みの原因を考えます。


高齢者が長期の入院をすると体重の減少が起こりやすくなります。筋肉量も減ってしまうため足腰が弱くなることも。耳にも変化が現れ、耳たぶがしなやかさを失い硬くなります。皮下脂肪減少のため耳の穴が大きくなる人もいます。


入院をしなくても年齢とともに体は小さく軽くなるので、目や耳に影響が出ます。眼球が縮み遠視や老眼が強くなる人、耳の穴が直線的になるので中耳炎になりやすくなる人も。

年齢による体躯の変化は感覚器官に大いに影響を与えます。


なかなか原因がつかめません。体躯の変化で耳の穴が広がれば、耳せんとの隙間が多くなり圧迫はおきません。逆に耳せんが耳の奥に入りすぎて痛いのかな?と思い井上さんの耳を観察してみましたが、どうもそういう事でもなさそうです。


もし急性中耳炎などであれば一刻も早く耳鼻科の診察を受け適切な治療をしなければなりません。もうすこし話を聞いてみます。


入院中、補聴器を付けていない時はテレビのイヤホンを耳にさしていた。


入院中はテレビか読書くらいしかやることが無いので、イヤホンを入れる時間も増えると思います。もしや補聴器ではなくイヤホンが原因ではないのだろうか?この時点で理由が何にせよ耳鼻科の受診が必要だなと判断しました。

井上さんに補聴器の使用中止と耳鼻科への診察を勧めたところ


補聴器を取られたら困る!痛くて夜も寝れないよ!と大声で言われてしまいました。


私も井上さんのお孫さんもびっくりしました。井上さんは普段、声を荒げるようなことはしないからです。


同時に私とお孫さん、2人で困惑しました。補聴器がないと夜も眠れない?ということは補聴器を付けていると耳が痛くないの?と。


「どういうことなの?補聴器で耳が痛いんじゃないの?」とお孫さん。私もそう思っていました。

逆だよ!補聴器を外すと耳が痛いんだ!と井上さん。確かに最初からそう言っていました。


井上さん以外全員が勘違いをしていたようで、はじめから「補聴器を付けていないと耳が痛い。どういうことなのか?」と聞きに来たそうです。


考えられる原因としては耳の穴が腫れて炎症を起こしており、それを補聴器のシリコン耳せんで圧迫すると一時的に痛みがごまかされる。というところでしょうか。


痛みのシグナルは圧迫による触覚よりも弱いので、たまにそういう事が起こります。頭痛や腰痛のとき幹部に手を当てるのと同じ理屈で、痛い所に触れることで若干ですが痛みがやわらぎます。


もちろん、別のもっと重篤な原因も考えられるのでお孫さんに出来るだけ早く耳鼻科へ連れて行って下さいとお願いして終わりにしました。


後日お孫さんから、お医者さんから外耳道炎と診断されて痛み止めと細菌感染の薬をもらったと連絡がありました。大事にならなくて何よりです。


違和感があればすぐに相談を

井上さんのように補聴器使用中、耳に違和感を持つ人は少なくありません。

耳の穴は外側の1.5cmくらいまではそれほど敏感ではありませんが、その奥にある鼓膜に近づくほど痛みやかゆみを感じるようになります。

誰しも一度は耳かきをしている内に誤って奥まで触ってしまい、痛い思いをしたことがあると思いますが、補聴器も耳せんの状態によっては同じ現象が起きて痛みを感じる方がいます。


年齢や体格によっても耳の穴は変化します。

子供や高齢者はそうでない時期よりも中耳炎のリスクが高くなっています。

子供の場合は、顔全体の発育が不十分なの成人と比べて耳の穴が太く短くなっています。また耳と口をつなぐ耳管(じかん)という部分が未発達のため、耳にはいった水分や細菌をうまく排出できないことも原因です。


高齢になると、そもそもの体の抵抗力が下がっている方や耳管の機能がうまく働かなくなっている方が中耳炎にかかりやすくなっているといわれており、その場合は早急な耳鼻科の診察が必要となってきます。


中耳炎以外にも違和感の原因となるものは多いので、お医者さんへいくのはちょっと大げさかなぁ…。と思った補聴器ユーザーはなるべく早めにご相談ください。


補聴器の構造や部品が原因の場合はすみやかに対応します。補聴器が原因ではない場合は耳鼻科のお医者様と連携し、聞こえをバックアップしています。


耳の違和感は放っておくと重篤化することがあります。補聴器で解決できることと、医療に繋げなければならないことの区別も私の大切な仕事の一つですので、まずはご相談を!

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