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補聴器の価格はいくらなのか
●検索してもよくわからない
補聴器は価格がよくわからない製品です。グーグルやヤフーで検索しても「10万円から」とか「7万円から31万円」というように、具体的にいくらかかるのかわかりません。そういう書き方にもちゃんと理由があり、決して販売価格を隠したい訳ではないのですが(理由はのちほど)いざ購入!という時に価格が分からない商品は不安ですよね。
●見た目はいっしょ

ここに並べた補聴器は右から56万円、50万円、26万円、20万円、12万円です。見た目は全部いっしょですね。
補聴器はデザイン性を売りにした一部の機種を除き、形はほとんど変わりません。この写真はWIDEX社の補聴器です。
他のメーカーの補聴器も多少の差はありますが、見た目はあまり変わりません。
●安いものと高いものの差は何?
見た目が一緒ならば、違いは中身です。具体的には以下の性能差になります
①周囲が騒がしいところで会話ができる(スポーツ観戦、お酒の席など)
②人が大勢いても、隣や目の前の人の会話が聞こえる(レストラン、ショッピングセンター)
③自分の耳に合わせて細かい調整ができる
④生活の中で、わずらわしい雑音を抑える(風の音、換気扇の音、食器を洗う音など)
⑤音のひずみを抑えて、より自然な聞こえにする
この他にもスマートフォンと連携させたり、TVの音を直接補聴器から聞いたりと様々な機能がありますが、基本となる性能はこの①から⑤になります。
ただ、こう書いて「じゃあ①番の機能が良いものが欲しい」と言われて販売してもあまり良い結果にはなりません。補聴器の性能は大切な要素ですが、もっと大切なのが使う人の状態になります。
●自分にあった補聴器を選ぶには
耳の聞こえ方は人それぞれで、同じ状態の人はいません。左右の耳でも変わります。
自分にあった補聴器選びは、自分自身が補聴器を使って何をしたいのか?が最初の一歩になり、補聴器販売店はそれに合わせたものを選んで提案をします。
あるタクシーのドライバーのお客様は
・左斜め後方に座ったお客様の行き先を間違えずに聞き取りたい。
・ハイブリッド車なので、車内の騒音は気にならない
・予算は15万円
以上が要望でした。この場合、周囲は静かで人も少なく余計な雑音も無いという状況なので前述した①~⑤の性能は低くても良さそうです。ただ一点だけ難しい所があります
「左斜め後方の声」
補聴器は基本的に使用者の前方の声を拾うようにできています。後方の声はとても苦手。
タクシードライバーの場合は箱型補聴器をお客様方向に向けて運転席シートに吊るしたこともありましたが今回は方法を変えました。

10万円以上の補聴器には、ほとんど「指向性マイク」が搭載されています。簡単に言うと、自分が聞きたい方向の音を優先的に拾ってくる機能です。
最近は補聴器についてるスイッチやスマホのアプリなどで指向性を自由に操作できる機種も出てきました。
このケースではそれを活用しました。
しかし問題点が一つ。この指向性機能で後ろの音を拾える補聴器は一番安いものでも22万円(片耳価格)からだったのです。機能の必要性を説明し、お客様には22万円でご納得していただけました。
今回は補聴器のスイッチ操作で指向性マイクを「通常用」と「後ろの音を拾う」で切り替えできるようにしました。
数回の微調整の結果、タクシードライバーさんの満足のいく聞こえにすることができました。
補聴器はお客様のお話を聞いて、耳の状態を調べることでどの機種にするか決めることができます。いくらかかるのか?が分かりにくいのは、お客様のご要望が人それぞれで変化するため、必要な機能が実際にお話を聞くまで分からないことが主な原因です。
高いものほど便利で快適な機能が沢山搭載されていますが、人によって必要だったりそうでない機能もあります。私たちアイアイメガネはお客様の立場に立って適切な補聴器の選定を心がけています。