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もっと耳が悪くなるの?進行性難聴と補聴器

進行性の難聴とお医者さんに言われたけれど、どうしたら良いの?



「進行性の特発性難聴です。補聴器を検討してください。」

50代の青木雄一さん(仮名)は5年以上前から難聴の治療で耳鼻科に通っていました。ここ数年は聴力低下はなく毎月薬をもらうだけでしたが、最近どうも奥様の声が聞き取れません。もしやと思い先生に相談すると薬や手術ではなく補聴器を使うのが一番よいとのことでした。


家族や親戚にも補聴器ユーザーはいない青木さん。さらに進行性の難聴という、なんだか怖そうな病名を言い渡されてしまい不安でいっぱいです。


進行性難聴とは

難聴にはいくつか種類があり、一番多いのが老人性難聴と呼ばれる加齢による難聴です。

年齢とともに鳥の鳴き声や笛の音のような高い音から徐々に聞こえなくなる現象のことをいいます。


次によく聞くのが突発(とっぱつせい)性難聴です。年齢に関係なくおこる難聴で、タレントやアーティストで自身が突発性難聴だと表明する方も多いです。


このふたつの難聴は長い年月をかけて進行する老人性難聴と、ある日突然おこる突発性難聴というふうに真逆の性質をもっています。


では青木さんが診断された進行性難聴は何が違うのでしょう?



鼓膜が破れたり、耳の中が腫れることで聞こえにくくなる難聴を伝音性難聴といいます。

伝音性難聴は医療機関での治療が必要なので、原則として補聴器は使いません。


それ以外の理由で生じた難聴は感音性難聴とよばれます。老人性難聴も突発性難聴も感音性難聴に分類されます。


進行性難聴も感音性難聴です。代表的な進行性難聴は特発性(とくはつせい)難聴と中枢性難聴があります。


色々な難聴がでてきてややこしいので整理します。





進行性難聴は名称通り、徐々に聴力が低下していく状態を指します。そうすると老人性難聴と一緒じゃないの?と感じますが、加齢による聴力低下の範囲を大きく超えて難聴が進むのが進行性難聴の特徴です。


老人性難聴になっても補聴器が必要ない方は沢山いますが、進行性難聴がある程度進むと補聴器なしでは日常生活に支障をきたします。


中枢性難聴は脳や聴覚神経に原因がある難聴です。これは薬や手術ではなかなか対処できない場合が多く補聴器を使用して聴力を補います。


特発性難聴は正式には 特発性両側性感音難聴 といいます。突発性(とっぱつせい)難聴と特発性(とくはつせい)難聴は音が良く似ているので間違えやすいですが、別の症状です。


よく混同されるせいか、Googleで特発性難聴と検索しても突発性難聴ばかり出てくるので検索オプションを使って絞り込まないと調べることすらできません。


特徴としては

・初期は必ずしも両耳が悪いわけではないが、年月とともに両耳とも聞こえづらくなる。

・診断時に軽度の難聴であっても、進行とともに高度~重度難聴になる。

・一定の速度で進行する訳では無く、変化のない時期と急激に難聴化が進む時期がある。

・原因は今のところ良くわかっていない。

などが挙げられます。


青木さんは左耳が学生時代から聞こえにくかったそうです。

ここ何十年かは右耳で会話を聞くようにしてきましたが、進行性の難聴のため右耳も聞こえにくくなってしまったようです。



補聴器を上手く活用

進行性の難聴と診断された青木さんは今後どのように難聴と付き合っていけば良いのでしょうか?

進行性難聴には今のところ有効な治療方法がありません。原因の特定も困難です。定期的に医療機関で聴力測定をして難聴の状態を把握する必要があります。


補聴器には様々な種類があり、難聴の状態に合わせて使い分けると良いでしょう。


初期の軽度な難聴であれば、耳の穴にすっぽりと収まるCICタイプと呼ばれる耳せん型の補聴器が良いと思います。


まだまだ補聴器に対するイメージは「老けている」とか「障害がある」と思われがちです。他人からはほとんど分からないCICタイプなら、そのような印象を持たれる心配もありません。


付ける耳も重要です。左右で聞こえに差がある青木さんの場合、比較的聞こえる右耳につけると効果的です。

「聞こえない方の耳に補聴器をつけたい」と仰るお客様もいますが、長年聞こえなかった耳に急に補聴器を付けても音を上手く聞き取ることができません。


青木さんの場合はまず右耳に補聴器をつけて日常生活での不便を減らし、その後に左耳への装着を考えた方が補聴器に慣れやすい方法になります。


難聴が中程度になってきたら、小型の耳掛け型補聴器にシフトすると良いでしょう。

中度難聴になると補聴器がなければ会話がつらくなると思います。


耳にすっぽりと収まるCICタイプは構造上どうしても出せる音量に限界があります。補聴器内に内蔵できるアンプ(音の増幅器)が小型のためパワー不足なことと、マイクとスピーカーの距離が近いためにハウリング(音が共鳴しピーと鳴る現象)が起こりやすいためです。


小型耳掛け型補聴器はRICタイプと呼ばれ、本体にアンプと集音マイク。耳の中にスピーカーを配置する構造になっています。小型ですが、マイクとスピーカーを分離させることでハウリングを起こしにくく本体にも中型のアンプを置けるため比較的ハイパワーな補聴器になります。


耳に掛ける構造のため、完全に隠すことはできませんが長髪の女性なら髪の毛で見えなく大きさです。男性も工夫次第で目立たなくさせることができます。


小型な上に拡張性の高いRICタイプ補聴器はここ数年、大人気の機種になります。

多くの補聴器メーカーはRICタイプにのみ、充電方式の電池を採用しているので電池交換が煩わしい方にもおすすめです。


高度~重度難聴になったら―そのときは標準サイズの耳掛け型に、オーダーメイドの耳せんを作って使用しましょう。


大型のアンプが使えるため、音の出力に余裕のある耳掛け型はBTEタイプと呼ばれています。


電池も大型のものが使えるので、交換の頻度がさがります。

オーダーメイドの耳せんは高度~重度難聴の方には必需品になります。RICタイプまではシリコンゴム製の柔らかい耳せんを使用して、圧迫感や音の響きを抑制していますが高度~重度難聴の方には何よりも大音量のハイパワー補聴器が必要となるため耳せんも特注品を合わせます。


BTEタイプにオーダーメイドの耳せんの組み合わせで必要な音を脳に届かせることにより、言葉の聞き取りや自身の発声などを正確に把握できます。



進行性難聴は今のところ止める手段のない症状ですが、難聴の程度に合わせて適切な補聴器選びと調整をすることで上手に付き合っていけます。


ご相談に来られた青木さんには、そのようなお話をしました。現在、右耳に試聴機(購入する前に耳に合わせて貸し出す補聴器)をいれて、どんな音が好みかを検討してもらっています。








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